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音へのアプローチ

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先日公開された映画「羊と鋼の森」はもうご覧になりましたでしょうか。

2016年に本屋大賞を受賞した、

ピアノ調律師を題材にした小説が映画化されたものです。

 

映画版も、原作の透明感と温かみを兼ね備えた世界観、

登場人物の真摯さや奥深さが、見事に映像化されていました。

 

そしてこの作品には、仕事の取り組み方について、

ヒントになるシーンがたくさん出てくるのです。

 

例えば。

お客様からのピアノの音に対するリクエストについて、

調律師同士が話すこんなセリフ。


「かたい音がいいとか、やわらかい音がいいとか、何を基準にしているのか確認しないと。

やわらかい音にしてほしいって言われた時も、疑わなきゃいけない。

どのやわらかさを想像しているのか。必要なのは本当にやわらかさなのか。

技術はもちろん大事だけど、まず意思の疎通だ。

できるだけ具体的にどんな音がほしいのか。イメージをよく確かめたほうがいい。」

 

別のシーンで、

お客様が調律師にピアノの音についての希望を伝えるときのセリフ。

「言いたいこと、わかるよね。大事なのは、インプロヴィゼーションだよ。

こちらの意図を読み取って、今の気分に合わせた響きをつくってほしいんだ」

 

これらのシーンを防音室や音楽室施工の場面に置き換えれば、

それはお打合せや設計の段階で必要になるお客様とのコミュニケーションです。

感覚を正確に言語化するのはとても難しいことです。

「うるさくないように」「でも響きが死んでしまわないように」などといった

感覚的な音のご要望を形にするためには、具体的に何をどうしたらいいか。

 

音の大きさについては、

音の測定をすることで数値という客観的に評価できるデータに置き換えて、

求められる「うるさくない」がどの程度のものなのか測ります。

「程度」を確固たる「数値」として確認すれば、確実に求めるレベルが実現できます。

 

また、「気分のあがる部屋」「かっこいいデザイン」など、

どんな雰囲気の空間をイメージしていらっしゃるかご要望を把握する。

 

そのために状況に応じ事例を例示したり、写真のような提案書を作成したり、

パースを描いたり模型を作成したりして、ビジュアル的に提示し、

お客様に目で見て確認していただいてイメージを共有し設計していきます。

壁紙などの具体的な部材を選んでいただく際も同様です。

 

そのようにブレイクダウンして音のイメージを具体化するためには、

多くの経験や技術が必要です。

 

またもう一つ印象的なのが、ラストの、

ウエディングパーティでのピアノ演奏のために調律をするシーン。

調律を終えたあと、パーティ会場の準備が始まり、

テーブルクロスがかかり、スタッフが動き回りはじめて、

布や人の動きに音が拡散され音の伸びが悪くなってしまう。

それに気づいた調律師が、いそいで調律をやり直すのです。

パーティが始まって席はゲストで埋まり、

話し声や食器の音がなるというシチュエーションの中での音響を考慮し、

結果的にその場に最適な音を準備できた、というシーンです。

 

空間の中での音の響きを調整するためには

まずその場所をよく知ること。

どんなシチュエーションで演奏をするのか知ること。

その時の音の響きを見極めること。

そのために何をしたらいいか。専門技術をもって具体的に調整する。

調律師も、音楽空間を作る私たちも、立場は違えど

同じアプローチで音に取り組んでいるんだな、というのが分かるシーンです。

 

演奏者の方も、音作りに対するアプローチは同じではないでしょうか。

「このフレーズはやわらかい響きが欲しい」となった場合に、

ピアノであれば鍵盤を打鍵するときの指の角度、打鍵のスピード、力の強さ、

手首のクッション的な動き、腕に逃がす重さの程度、ペダリングなどを調整し、

「やわらかい響き」を具体化して実現するのが「演奏技術」ですね。

 

ちょっとしたニュアンスを弾き分けるために、

呼吸を工夫して前後の絶妙な間を作りだしたり、

重心を変えるために椅子の高さを調整したりすると思います。

理想の音を実現するためには直接発音にかかわらない部分の工夫も必要だったりします。

 

演奏家の方のための音楽空間施工を行っている私たちも、

同じ価値観とアプローチで、お客様とベクトルを同じにし

手を取り合ってより良い快適な音楽空間づくりを担ってまいります。

 

環境スペースの考える音楽空間づくりのポリシーについて、

コーポレートサイトにもまとめておりますのでぜひご覧くださいませ。

 

▼環境スペースのコーポレートサイト

https://www.kankyospace.com/



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