防音室、「防音」するだけでいいの?吸音と残響のハナシ | 防音室・防音工事は環境スペースにお任せ|サウンドゾーン

5月だというのに、真夏のような暑さが続いていますね。

雨で多少は和らいだでしょうか。

私事ですが、先日、20年来の友人から、アコースティックのミニライブを開催するという連絡をもらい、旧友のよしみで、リハーサルからお邪魔させていただきました♪

内輪の集まりだから、と、特にライブの宣伝もしていないようでしたが、当日はたくさんのお客様が来店されました。

本番が始まって・・・あれ?

先ほどのリハーサルと何かが少し違うことに気づきました。

あ、音の響き方が違う!

そう、みなさま、もうお気づきですね。

お客様が入っていない時は、壁や床、椅子などの硬い面で反響していた音が、お客様が入ることによって、吸音されてしまっていたのです。

そのため、リハーサルの時に聞こえていた、繊細な音の響きが弱くなっていたのですね。

思い出してみると、例えば映画館や劇場の座席は、布張りのものが多いですよね。

一般的には、人(と洋服)に近い吸音率の素材を使用することで、空席時と満席時の音響の差をできるだけ小さく抑えるようにしてあるのです。

更にそのうえで、壁や天井の材質や形状、座席の配置などに様々な工夫を凝らし、部屋や会場に合わせた、広がりのある音を響かせるようにコントロールします。

これが「音響設計」と言われるものです。

かつて、カラヤン率いるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が来日し、普門館で演奏を行うにあたって、専属の音響コンサルタントの方から「前方の座席の背裏にベニヤを張るように」という注文などもあったそうです。

クラシックを演奏するための最適な空間作りに、とことんこだわっていたことがうかがえますね。

こういった音響設計を行う際、重要となる点がいくつかあります。

例えば「残響時間」

音は、音源からあらゆる方向へ放射されて壁や天井にぶつかると、一部は吸収され、一部は材質の固体の中を伝わり、残りは反射して、その空間の中に戻ります。これが残響と言われるものです。

残響が長すぎると、大浴場や室内プール、トンネルの中のように、声や音が明瞭に聞き取りにくい状態になってしまいますね。

ですので、空間内での残響がどれだけ長く響き続けるかを数値として計測し(=「残響時間」)、それをコントロールしなくてはなりません。

残響が長すぎる場合は吸音させなくてはいけませんし、逆に残響が短すぎる場合は、もっと響かせることが必要になります。

先ほど、普門館の座席にベニヤを張った例を紹介しましたが、目的はまさにこれだったわけですね。

クラシックを聴くのに最適な残響時間は2秒、と言われています。

では次に、響きすぎてしまう場合。

音は、物にぶつかると一部は吸収される、とお伝えしました。これが「吸音」です。

この吸音の大きさを数値で表したものが「吸音率」です。

吸音率の高い「吸音材」を適切に使用することで残響を少なくし、空間の音をコントロールすることができるのです。

クラシック音楽に最適な残響時間があるように、吸音率も、部屋の用途に適した数値があります。

例えば、一般的な多目的ホール平均吸音率が0.25~0.30なのに対して、コンサートホールは0.20~0.25。ちょっと低いですね。楽器などの演奏を豊かに響かせるため、吸音を少な目に設計されているのです。

逆に、演劇などを行う劇場では0.30~0.35と、吸音率は少し高め。せりふが明瞭に聞き取れるように響きをやや抑えた設計になっているのだそう。

更に響きを抑えているのが、アナウンスブースレコーディングブースです。

あとからエフェクトをつけたりするため、余分な残響は必要ないから、ということで、平均吸音率は0.45以上。かなり高い数値となっているのです。

実はこれ、ホールや劇場に限った話ではないんですね。

ピアノ練習用の防音室を作ったのに、音が響きすぎて頭が痛くなり、長時間の練習に耐えられない、とか、逆に吸音が強すぎるため、弾いていても全く気持ちよくない、なんて声を聞いたこともあります。

せっかく防音室を作ったのに、これではもったいないですよね。

そうならないために、環境スペースでは、お部屋の広さや形状、用途、演奏される楽器の種類や台数などを細かく伺い、オーダーメイドならではの最適なプランを提供させていただいております。

実はもう防音室はあるんだけど、音響に満足していなくて・・・という方にも朗報です!

吸音反射の調整ができる「KSA 音響panel」というオリジナル商品もありますので、是非お気軽にご相談くださいね。

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環境スペースは、みなさまの快適な環境作りをお手伝いいたします!


               

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