無響室の防音工事|防音室・防音工事・対策は環境スペースにお任せ|サウンドゾーン

無響室の防音工事

無響室

無響室は、主にスピーカやマイクロホンの研究・開発のための音響特性測定に使用されてきました。 しかし、最近では、私たちの周辺には様々な騒音が渦巻き大きな社会問題となっています。 このため、各種機器などの騒音測定や聴覚試験などが必要となり、工場から研究施設に至るまで多くの機関において無響室が設置されています。 測定した無響室によって騒音値が違うことがあります。 性能の良い無響室では、値が小さくでるのです。

機器メーカのカタログで騒音値を表示していますが、この値が2dB違うだけでその商品価値が大きく違ってしまいます。 たとえば、騒音値が31dBのものと29dBのものでは、20dB台と30dB台でのカタログ表示は、印象がかなり違ってしまうのです。 静穏性を売りにしている商品の開発には、良い性能の無響室が必要です。 現在、無響室をお持ちの方でデータに不安がある方や、簡易無響室、小型無響箱、防音室を使って測定している方は、この提案書の設計方法を一読いただき、環境スペースにご相談ください。

無響室に求められる音響条件

無響室に求められる音響条件 遮音・防振設計 室内音響設計 無響室設計の条件

1. 室設計

(1)無響室、半無響室の選択 測定対象物が、大型の機械や車両の場合、床面を吸音することが難しいため半無響室とする場合があります。 また、予算や建築的な条件、大型の物も小型な物も測定する場合、床は吸音ユニットを敷き並べるようにして無響室としても使えるようにする場合もあります。 半無響室の場合は、無響室に比べ測定精度がやや落ちますので、可能な限り無響室にすることをお勧めいたします。 また、予算の関係上、吸音構造に吸音楔を使用していない簡易無響室もありますが、測定精度が落ちますので見積段階で安い業者には注意が必要です。

(2)床仕様の選択 無響室では、床面に吸音構造を設置するため、反射の少ない床が必要です。 現在では、下記3タイプが使用されています。

1. ピアノ線を格子状に張った床 反射が少なく性能は良い。時々張替えが必要。安全性に難。
2. 丸鋼棒のグレーチング床 現在最も多く採用されています。場合によっては、薄い吸音マットを敷いて使用。安全性はやや難。
3. エキスパンドメタルグレーチング床 反射が多いため薄い吸音マットを敷いて使用。安全性は大。
荷重のある測定物の場合、安全性重視の場合に採用。

2. 室内音響設計

1)逆二乗特性の目標値設定
無響室とは、室内の音源から発生する音を外界の騒音から隔離させ、室内の反射音が無い理想的な自由音場をいいます。 完全な自由音場においては、点音源から放射された音の音圧レベルが倍距離ごとに6dBの割合で減衰していきます。 この特性を逆二乗特性といいます。しかし、完全な自由音場とはならないため、音源からの距離が遠くなると逆二乗特性が成立しなくなります。 この逆二乗成立距離が長いほど無響室の性能が良いということになります。

室内音響設計

逆二乗特性が成立する範囲が、測定できる範囲ということになるため、測定対象物の大きさと測定する距離、及びその周波数から、部屋の大きさが決まってきます。 また、測定対象物は部屋中央に設置し、仕上げ面より4分の1波長(λ/4)以上離れていることが条件です。

逆二乗特性成立距離の計算

吸音楔2)吸音構造の決定 上記式のように、逆二乗特性が成立する範囲は、室内の平均吸音率により決まってきます。 すなわち反射音の少ない理想的な自由音場をつくるためには、出来るだけ広い周波数範囲にわたって、吸音率が出来るだけ1.0に近い吸音構造にすることが必要です。 無響室の吸音構造として一般的に使われるものは、右図のようにグラスウールを成形して金属フレームをまわしたユニット(吸音楔)です。 簡易無響室の場合は、グラスウールを積層し表面にクロスを貼る、平面吸音構造が使われます。

3. 遮音・防振設計

遮音設計では、直接音だけでなく、壁・床・天井に入射した音が物体内を伝搬してくる音(固体伝搬音)があるため遮音・防振構造(浮遮音層)が必要となります。遮音層仕様は、周囲環境騒音や躯体の仕様により設計されます。

遮音・防振構造概念図

■用途別室内騒音の許容値

用途別室内騒音の許容値