音楽スタジオ/リハーサルスタジオの防音工事
演奏に没頭できる静けさと、響きの美しさ。その両方をかなえる音楽スタジオ・リハーサルスタジオの防音設計。遮音性能と音響環境を細部まで調整し、音楽と真剣に向き合える空間づくりをかたちにしています。
※幾何音響学や波動ベースFEMといったシミュレーション技術を活用し、設計段階から音響設計の最適化を可視化することにも取り組んでいます。

音楽スタジオ/リハーサルスタジオ|MUSIC STUDIOの施工のポイント
1.遮音・防振・音響設計

音楽スタジオやリハーサルスタジオの防音工事では、単に音を遮るだけでなく、室内での響き方=音響設計が欠かせません。楽器や演奏スタイルによって最適な音環境は異なり、遮音・音響のバランスが創作の集中力や演奏の質に直結します。私たちは、幾何音響学や波動ベースFEMといった解析技術を用いて、空間ごとの音の振る舞いを高精度にシミュレーション。求める響きを、設計段階から具体的に描き出すことが可能です。
音楽スタジオ・リハーサルスタジオ|MUSIC STUDIOの
音響設計を可視化する
私たちは、空間における音の振る舞いを“見える化”する先進の音響シミュレーション技術を導入し、設計段階から音響品質の高い空間づくりに取り組んでいます。低中〜高周波数帯までをカバーするハイブリッドな解析手法により、実測に近い精度で音響特性を予測。設計意図の検証や最適化を、視覚的・定量的に行うことができます。

幾何音響学について
音を「光のように」捉え、反射や拡散などの経路をシミュレーションする解析手法です。高周波帯域の音の伝播を効率よく計算し、コンサートホールや講堂など大規模空間での響きの最適化に活用されます。
波動ベースFEMについて
波としての音の性質を解析する手法で、干渉や回折など複雑な現象を忠実に再現。スタジオや収録室など、精密な音響制御が求められる空間で力を発揮します。
建築物の遮音性能基準と設計指針
遮音等級 | D-65 | D-60 | D-55 | D-50 | D-45 | D-40 | D-35 | D-30 | D-25 | D-20 | D-15 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
音の聞こえ方 | 通常では 聞こえない |
ほとんど 聞こえない |
かすかに 聞こえる |
小さく 聞こえる |
かなり 聞こえる |
曲が ハッキリ 分かる |
よく 聞こえる |
大変良く 聞こえる |
うるさい | かなり うるさい |
大変 うるさい |
※↑の表は横スクロールできます。 ※日本建築学会より
遮音等級 | D-75 | D-70 | D-65 | D-60 | D-55 | D-50 | D-45 | D-40 | D-35 | D-30 | D-25 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
音の聞こえ方 | 通常では 聞こえない |
ほとんど 聞こえない |
かすかに 聞こえる |
小さく 聞こえる |
かなり 聞こえる |
曲が ハッキリ 分かる |
よく 聞こえる |
大変良く 聞こえる |
うるさい | かなり うるさい |
大変 うるさい |
※↑の表は横スクロールできます。 ※日本建築学会より

遮音設計では、直接音だけでなく、壁・床・天井に入射した音が物体内を伝搬し隣室に放射する音(固体伝搬音)があるため遮音・防振構造(浮遮音層)が必要となります。
また、楽器の振動を伝搬させないような床の防振構造が必要不可欠となります。
隣接するスタジオ間も、独立した防振構造が必要となります。苦情の多いスタジオでは、防振構造の無いところが非常に多く問題となっています。
用途別室内騒音の許容値
dBA | 20 | 25 | 30 | 35 | 40 | 45 | 50 | 55 | 60 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
NC~NR | 10-15 | 15-20 | 20-25 | 25-30 | 30-35 | 35-40 | 40-45 | 45-50 | 50-55 |
うるささ |
無音感 |
非常に静か | 特に気に ならない |
騒音を 感じる |
騒音を無視 できない |
||||
会話・電話への 影響 |
5m離れてささやき声が聞こえる | 10m離れて会話可能電話は支障なし | 普通会話(3m以内)電話は可能 | 大声会話(3m)電話やや困難 | |||||
スタジオ |
無響室 |
アナウンス |
ラジオ |
テレビ |
主調整室 |
一般事務室 | |||
集会・ホール |
音楽堂 |
劇場(中) |
舞台劇場 |
映画館 |
プラネタリウム |
ホールロビー | |||
病院 | 聴力検査室 |
特別病室 |
手術室・病室 |
診療室 |
検査室 |
待合室 | |||
ホテル・住宅 |
書斎 |
寝室・客室 |
宴会場 |
ロビー | |||||
一般事務室 | 重役室
大会議室 |
応接室 |
小会議室 |
一般事務室 |
タイプ
計算機室 |
||||
公共建物 |
公会堂 |
美術館 博物館 |
図書閲覧 | 公会堂
兼体育館 |
屋外スポーツ施設(拡) | ||||
学校・教会 |
音楽教会 |
講堂 礼拝堂 |
研究室 | 普通教室 | 廊下 | ||||
商業建物 |
音楽喫茶店 宝石店 |
書籍店 美術品店 |
銀行 レストラン |
一般商店 食堂 |
※日本建築学会より
2.室内音響設計
(1)室内の響き(残響時間)
響きは、音楽に豊かさや暖かみを与えますが、響きすぎると演奏の妨げになります。また、極端に響きの少ない環境では、演奏する音楽に違和感があり、つまらない音になってしまい、快適な環境を得ることができません。
室内の最適な残響時間は、音楽のジャンルにより異なります。クラッシック・アコースティックな音楽では、やや長め(ライブ)、ロックなどでは短めに(デッド)設定します。また、用途が多目的の場合は、可変残響装置や吊り下げ吸音体、反射板を好みに合わせ設置することもできます。下記グラフに一般的な使用用途による最適残響時間を示しました。

(2)音響障害の防止
演奏しやすく、高音質で快適な音空間を実現するためには、“響き”だけではなく、音質を悪くする反射音を無くすことが必要です。特に、平行する大きな反射面がある場合は、音響障害となりますので対策が必要となります。
平行する大きな反射面の対策
拡散処理(形状変形) | 部屋の形状を変形する拡散体を取り付ける |
---|---|
吸音処理 | 内装仕上げを吸音構造にする吸音パネルを取り付ける |
計画例 ①
下記平面図のA~Dの部分をクリックすると各フロアのイメージが表示されます。
計画例 ②
ショールームを兼ねたハープのリハーサルスタジオ。残響、吸音を考えたプランです。


計画例 ③
リハーサルスタジオのCGパースの一例
打合わせ段階でCGパースを作成しイメージに合わせた設計が可能です。





リハーサル・音楽スタジオを開設・運営する上で、近隣への騒音対策やリハーサル・音楽スタジオ内部の音環境は非常に重要な課題です。
遮音・防振だけでなくの注意点、実際の施工事例についてご紹介します。
リハーサル・音楽スタジオを開設・運営する上で、近隣への騒音対策やリハーサル・音楽スタジオ内部の音環境は非常に重要な課題です。
遮音・防振だけでなくの注意点、実際の施工事例についてご紹介します。