生の音の響きに徹底的にこだわった理想の音楽ホール
お客様データ概要
| お客様名 | 音楽ホール フェリーチェ様 | 
|---|---|
| 用途 | 音楽ホール | 
| 広さ | 94.64㎡ | 
| 建物構造 | 鉄筋コンクリート造 | 
| 施工日数 | 60日 | 
| 施工エリア | 埼玉県 | 
防音室を作ったきっかけ
もともとマンドリンクラブを作って活動なさっていた三田様。しかし、近くの練習場所は人気があり、半年先まですぐ予約が埋まってしまうような所でしたので、練習できる場所を探すのに毎回苦労されていました。いつかは自分の練習場所を作りたいという強い思いから、自宅の空き室を改築することも考えましたが、条件的に難しい部分もあり断念。
ちょうど空きの出ていた駐車スペースを活用して、音楽ホールとピアノ練習場を建物から作ることになさいました。
お客様の要望

ホール設計前の段階では、ピアノの本物の音をしっかりと聴くことのできる施設にしたい、という漠然としたイメージしかありませんでしたが、お客様ご自身でいろいろなホールやスタジオを見学なさるうちに、理想のホールのイメージがはっきりしてきました。最終的には、銀座にあるサロンに近い形にしたい、とお決めくださり、ベーゼンドルファーのフルコンサートサイズのグランドピアノが最高に良い音で聴こえる音楽ホールを目指すことになりました。
また、夜遅い時間でも外部に音が漏れることなく、24時間演奏ができるような性能もご希望でした。
解決方法
理想のホールイメージとこだわりの音響を実現するため、入念なリサーチと設計を行いました。
銀座にあるピアノサロンに一緒に見学に伺い、お客様の思い描いているイメージを共有させていただいたことで、ホールの全体像や細やかなデザインまでをパースにして視覚的にご提案することができました。
理想の音響を実現させるためには徹底したデータの収集も必要でした。現地の暗騒音を測定することで、ホール周辺の外部騒音を細かく分析。ホール内に外部騒音が影響しないよう、周波数を特定し効果的な遮音を設計・実施いたしました。
また、ホール壁面のリブは音響効果を高めるためのものですが、その木材は山林を所有されているご友人がお客様に提供してくださったもの。思いの詰まったタモ材を、大事に使わせていただきました。1本1本の太さが違うタモ材を使用したリブや、壁面の湾曲(=R)などを緻密に設計することによって、理想的で気持ちの良い響きを実現させました。ホール内は土足を想定していましたので、床材に硬くて丈夫なカリンを使用しました。楽器から客席側へまっすぐ伸びる方向に敷き込みをしたのですが、これも音響効果を高める狙いがありました。
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					  平面図プラン 
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					  実際にご提案したパースの一例 
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					  実際にご提案したパースの一例 
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					  環境騒音測定風景 ① 
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					  環境騒音測定風景 ② 
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					  環境騒音測定風景 ③ 
測定資料環境騒音測定要領書サンプル
測定資料環境騒音測定報告書サンプル
ご成約

様々な角度・視点からご提案をさせていただき、
				お客様のご要望通りのプラン・価格でのご成約となりました。
実施設計開始
施工開始
施工中の様子
※クリックで画像の全体を表示できます
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		 1.設備工事 各所取り合い部分に消音チャンバーを取り付けています。 
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		 2.下地工事(天井) 高い天井の下地組みは、高所作業車によって行います。 
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		 3.設備工事 熱交換器の設置をします。通常の換気・空調に比べて防音効果の高い熱交換システムを採用しています。 
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		 4.下地工事(天井・壁) 折り上げ天井と壁が接するラインに掘り込みのように間接照明を取り付ける(ホリゾント)のための下地工事です。部屋全体にバランスよく音が廻るように斜め壁を形成しています。 
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		 5.ダクト壁下地工事 吸音ダクト工事を行っています。音はダクト内を抜けることによって減衰します。ダクトの距離が長いほど多く吸音されます。 
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		 6.床工事 コンクリートの躯体から床を浮かせるためのレベル調整を行います。 
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		 7.床工事 計算によって間隔を割り出し、浮き床の構造を作っていきます。 
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		 8.床工事 コンクリートでのレベル調整の上に木製の大引き(おおびき)、更に根太(ねだ)を組み上げていきます。 
 ※大引き・・・床を組むのに必要な部材で、大引きの上に直行する形で根太が組まれます。
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		 9.床工事 根太の下から合板貼りを行っています。 
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		 10.設備工事 空調や換気ダクトの吹き出し口から発生する音を低減させるためにチャンバーを作成しています。 
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		 11.壁下地開口補強 鋼製扉の開口部を補強します。 
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		 12.音響トラップ工事 低音域を適度に吸音し、音をバランスよく響かせるためのサウンドトラップを仕込みます。バランスは緻密に設計されています。 
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		 13.天井 天井のバトン(照明などを吊り下げるための棒)を設置するための下地工事を行います。 
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		 14.ボード貼り 遮音のための石膏ボードです。何枚も重ねて貼ることで遮音層を形成していきます。 
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		 15.塗装 塗装の下地工事をしています。塗装の仕上がりを左右する重要な過程です。石膏ボードのつなぎ目やビス部分などを丁寧に埋めていきます。 
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		 16.天井 照明用のバトンを設置しました。 
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		 17.金物間接工事 壁面に間接照明を設置するための金物を取り付けます。 
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		 18.金物間接工事 壁面の帯状の金物に間接照明を仕込みました。自然光に近く高輝度のキセノン照明を採用しています。 
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		 19.塗装 仕上げ塗装をしています。照明を入れて影ができていないか(=塗装の凹凸など不具合がないか)の確認をしています。 
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		 20.リブの設置 音響効果を高めるためのリブを壁面に設置して完成です。太さの違う3タイプを組み合わせて良い音が鳴るように形状を設計いたしました。 
竣工時測定報告書(遮音・NC)
施工担当者からのコメント

お客様の「生の音の響き」への強い想いが伝わってきましたので、その理想の音響を実現させるために、ホール全体にいろいろ緻密な仕掛けを施しました。完成後のコンサートにも呼んでいただきましたが、演奏者の方も「音が良い、またここで演奏したい。」と言ってくださったそうで、大変ご満足いただけたこと、また、地域の音楽文化を活性化させるお手伝いができたことを本当に嬉しく思います。

こけら落としのひとこま。
コンサート前の来場者様の様子です。



























































































