
新年のご挨拶には少々遅いですが、今年もよろしくお願いいたします。
当ブログでは”音“に関する話題をお届け。
新年の第1回目は、弊社の防音工事においても重要な項目のひとつ、「吸音」に関してお送りします。
「防音」という言葉は馴染みのある言葉だと思いますが、「吸音」という言葉は、あまり聞いたことがないと思います。吸音とは「防音の手法のひとつ」を指す
防音には大きく分けて遮音と吸音が存在します。
一般的にいわれる「防音」という言葉は、概念的なものであるのに対して、「吸音」とは防音の手法のひとつのことをさします。
読んで字のごとく音を吸収する素材、「吸音材」を使用することで、防音の一部を担うのです。
吸音材の主な効果は、音の反響を小さくすることです。
用途としては、不必要な反響を抑えて最適な音楽環境を作り出すために、ピアノ室やオーディオルーム、ホームシアター、ライブハウス、スタジオなどの音楽関係の施設に使われます。
騒音の低減が必要な工場や、自動車の車内環境の向上にも使われます。
吸音材は防音工事に使われ、効果が強すぎると反響音が弱くなりすぎてしまい、音楽施設などは適切に音が響かなくなってしまうため、適度な調整が必要です。
吸音材料は大きく3種類ある

参考画像:音楽室の壁
吸音は吸音材料に入射した音を、熱エネルギーに変えることで実現します。
材料は大きく分けて3つの型があり、それぞれ多孔質型吸音、板振動型吸音、共鳴型吸音と呼ばれます。
■多孔質型吸音
無数の穴が開いている構造で、音を内部に取り込みやすいのが特徴です。
多孔質型吸音材料の種類としてはグラスウールやロックウール、ウレタンフォームなどがあげられます。
吸音特性として、低音域はあまり吸収されず、高音域でより効果を発揮します。
■板振動型吸音
薄いベニヤ板やカンバスといった気密性が高い材料に音が当たると、板振動や膜振動が発生し、音のエネルギーの一部が内部摩擦によって消費されます。
吸音特性は吸音率こそあまり大きくはありませんが、低音域での効果がやや良好です。
■共鳴型吸音
空洞に穴が開いた形の構造(共鳴器)に音を当てることで、穴の部分の空気が激しく振動し、周辺との摩擦熱として消費されます。
身近なものではパンチングボード(有孔ボード)が当てはまります。
しかしこれだけでは機能しません。
ボードの向こう側に、閉じた空間を作る必要があります
小学校の音楽室や放送室で見た覚えのある方もいらっしゃるでしょう。
吸音特性は、特定の周波数付近だけかなり大きく優れています。
吸音材料はホームセンターでも買える
吸音材料と聞くと、一般には手に入りにくいイメージがあります。
ホームセンターで購入できてかつ、効果が高いと思われる商品を3つ抜粋しました。
■ウレタンスポンジ
吸音効果が非常に高い素材です。
ハサミやカッターなどでの加工も容易で、店によっては表面が平らなものからより吸音効果を高めた凸凹のあるタイプが存在します。■グラスウール
建築資材として主に断熱に使われる素材ですが吸音材料としての効果も発揮します。
ウレタンやロックウールに比べて吸音効果は少々劣りますが、コストパフォーマンスではこちらに軍配が上がります。
■パンチングボード(有孔ボード)
共鳴型吸音で紹介した材料になります。
単品では単なる穴の開いた板になってしまうため、背面に吸音材や空間がないと意味をなしません。
扱いが面倒ではありますが、ウレタンスポンジやグラスウールが不得意な低音域に強いため一考の余地ありです。

環境スペースで扱う吸音材料
最後に弊社の防音工事で使用している吸音材料、オリジナルKSApanelをご紹介します。
https://www.soundzone.jp/t_service/ksa-panel/
吸音材料の吸音の大きさを数値で表したものとして、吸音率があります。
吸音率1が最大で、これは音の反射が一切ない数値となります。
弊社のオリジナルKSApanelのページでは、厚みと使用面ごとに記載しておりますので参考にぜひご覧ください。
吸音に関しての注意点
ここまで吸音に的を絞って述べてきましたが、勘違いしていけないのが防音を実現するためには「吸音」だけでは成り立たないということです。
今回の記事では深く解説しませんでしたが、防音にはまず「遮音」を行います。
そして「吸音」という手法も組み合わせることによって、効果の高い防音対策ができるようになります。
更に振動を抑える「制振」「防振」などを考慮することによって、より精度の高い防音が可能です。
防音の世界は、奥が深く狙った効果を実現するのはとても難しいものです。
DIYでの作業に限界を感じた時は、遠慮なく弊社にご相談をください
このブログでは主に音に関係するテーマで色々なジャンルの話題を取り上げております。
最後までお読みいただきありがとうございました。

このブログでは音に関する話題をお届けしていますが、本日は音は音でも人間の耳では聞くことが困難な音に焦点を当てております。
その名もずばり「低周波音」。
これがかなりやっかいなタイプの音なのです。
低周波音って何?
低周波とは、周波数が100Hz以下の音を呼びます。
音は気体、液体、固体などによって伝わる振動です。
そして1秒間に振動する回数が周波数です。
単位はHz(ヘルツ)、周波数が上がれば単純に高い音に、下がれば低い音になります。
一般的に周波数100Hz以下を、前述の低周波音といい、その中でも20Hz以下の人間が聞くことが困難な音を超低周波音と呼びます。
低周波音による影響
低周波音は生活の中で当たり前のように存在しています。
例えば乗り物なら電車、バス、船舶、ヘリコプター。建物や機械なら工場、治水施設、風力発電、変圧器、ボイラーなど。
特徴としては主に大型の構造物、機械、施設などから発生することが多いようです。
電車やバスに乗っていて「低周波音で具合が悪くなった」という話を聞かないように、通常、人体への影響はほとんどありません。
しかしそれは「小さな低周波音」だからです。
問題になるのは「大きな低周波音」です。
ここでいう小さな、大きなとは音の音圧レベルのことになります。
単位はdB(デシベル)、低周波音が起こす影響は二つあります。
ひとつは建物の窓や戸の揺れ、がたつきなどの物的影響。もうひとつが不快感や圧迫感など人への影響です。
前者を数値で表すと5Hzで70dB、20Hzで80dB程度になります。
70dBといえば掃除機やセミの鳴き声が例に挙がりますが、周波数が5Hzと非常に低いため人間の耳では聞くことは困難です。
そして困ったことに耳には聞こえないけど「何か妙な違和感がある」と感じたりめまいや動悸、睡眠障害などといった症状が起こる原因にもなります。低周波音による健康被害の例

低周波音が問題となった健康被害の例で、風力発電施設があります。
石炭や石油などの化石燃料を使わない風の力を利用した発電で、環境に対して非常にクリーンなイメージがあり、公害とは一見無縁に思えました。
ところが、一部で大きな風車が回転することにより発生する騒音や低周波音が原因で、周辺に住む住民に健康被害が出るという事態が発生しました。
日本でも2007年の愛知県田原市の久美原風力発電所の例が挙げられます。当時の住民の症状としては体のしびれ、睡眠障害といったものが報告されています。
しかし現在の風力発電では、プロペラの形状など広く対策が進み、それ以前ほど問題は起きにくくなっているようです。
低周波音の防音方法
この低周波音を防ぐ方法はあるのか?、これが難しい問題で「音の発生源による」という曖昧な回答になってしまいます。
というのも、低周波音は通常の騒音と違って、塀や壁による防音効果があまり期待できないからです。特に人体や建物に対して影響が出るレベルの大きな低周波音ともなると、壁1枚増やした程度ではどうにもなりません。
そこで「低周波音の対策は発生源へ」がです。前述の風力発電施設ですと、プロペラの翼断面の改良、回転速度を下げる、増速機への防振対策、などが挙げられます。
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最後までお読みいただきありがとうございました。

秋もそろそろ後半に入り、冬の寒さが近付いて来ましたが、秋はまだもう少し続きます。
秋といえば運動の秋、読書の秋、食欲の秋などが比較的有名ですが、本日は「睡眠」の秋の話題です。
電車に乗っていると眠くなるのは何故?

プライベートでも毎日の通勤でも、理由は色々あれど電車に乗ったことがないという人はまずいないはず。
そして電車に乗っていると不意に襲ってくる眠気、そのままうっかり寝てしまい、降りる駅を乗り過ごしてしまったという経験は誰しも一度はあるのではないでしょうか?
と言いつつ私はまだ乗り過ごしたことは一度もありませんが、眠くなることなら何度もあります。
前日夜更かししたわけでもないし、睡眠時間も十分だったのに、何故電車に乗ると眠くなるのか…。
電車の振動と音

電車に乗っていると眠くなるという現象は、テレビやインターネットなどのメディアでしばしば取り上げられることがありました。
理由はいくつか挙げられるようですが、いずれも関係するのは電車特有の振動と音です。
代表的な説は2つあります。
ひとつは「電車の振動・音と赤ちゃんが母親の胎内にいる時に似ているから」です。
これはNHKの番組でも紹介された説で中々説得力がありそうです。
「記憶がなくても遺伝子が覚えている」ものなのか、電車の「ガタンゴトン」と「胎内音」が似ていることに「なるほど」と思います。
そしてもうひとつは「馴化」(じゅんか)と呼ばれる現象です。
何やら聞きなれない専門用語が出てきましたが、これは一言で言ってしまうと「体の慣れ」です。
心理学の分野で使う言葉のようですが、電車に乗ると以下のような一定のプロセスを辿り眠気を感じるといいます。
- (1)「ガタンゴトン」という振動と音に、神経が集中する
- (2)振動と音に意識が集中し、それ以外のことへの意識が散漫になる
- (3)一定のペースで繰り返すことで体が慣れてくる(ここが馴化)
- (4)だんだん電車の振動と音が気にならなくなる
- (5)眠くなってくる
順を追って説明されると、なるほど納得。
赤ちゃんの寝かしつけにも応用されるそうで、案外ご存じの人も多そうです。
逆に刺激が不規則だったり、別の刺激が加えられたりすると馴化は起きません。
電車で眠りたくないという人は、音楽を聴いたり本を読んだり、スマホを操作したり色々な刺激を与えると良さそうです。
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筆者はこれから電車で揺られて帰ります。最後までお読みいただきありがとうございました。

本日は筆者が実際に体験した騒音トラブルをお届けします。
舞台はマンション、アパートといった集合住宅。
騒音トラブルといっても人の話し声、足音、テレビなどの家電、挙げればまだまだ沢山ありますが、今回は音楽の重低音 振動にフォーカスしています。
夜な夜な聞こえてくる重低音
振動
どこから!

あれは今年の1月くらいでしょうか、夜になるとどこからともなく「ズンズン」といった音楽の重低音が聞こえてくるようになりました。
壁に耳をつけて聞くと、ボーカルのような音がかすかに聞こえてきます。
時間は夜の10時頃、大音量で音楽を鳴らすのは自粛すべきであろう時間帯です。
実際「大音量」といえるような爆音ではありません。
ただただ「ズンズン」と低音だけが響いてくるのです。かすかな振動も。
これまでにも隣人の音楽が聞こえてくることはありましたが、低音だけというのはあまり記憶にありません。
また、筆者は近くに線路がある立地に住んでいるため、普段から耳栓を使用して就寝しています。
しかしこの体に直接響いてくるような音楽の重低音に、耳栓では防げませんでした。
低音と重低音の区別をする
調べたところ、低音と重低音の定義は、かなり曖昧で、明確な決まりがあるわけではありません。
音の単位Hz(ヘルツ)で示すと、100Hz以下、または20Hz~100Hzの間、または20~30Hz以下の低音を、重低音と区別するようです。
もはや音というより、振動として捉えられる音域を指します。
ちなみに日常会話は250Hz~4,000Hzといわれています。
重低音はなぜ耳栓で防げないのか

さて、この重低音ですが1日では終わりませんでした。
最初に聞こえた日から毎晩続くようになりました。
これはもう黙ってはいられません、何しろ耳栓で防げないのです。
これは一体何故なのか?また何故重低音だけが響いてくるのか?この答えは当ブログでも何度か紹介している「固体伝搬音」だからです。
音の伝わり方には2通りあり、ひとつは「空気伝搬音」。
音源から放出された音が空気中を伝わっていく音のことで、音源からの距離が離れるほど減衰し、壁などの遮蔽物によっても減衰します。
こちらは耳栓でかなり効果が期待できます。
もうひとつが「固体伝搬音」です。
壁・天井・床に入射した音が、物体内を伝搬して空気中に放射する音を指します。
困ったことに距離が離れていても空気伝搬音ほど減衰しません。
「ズンズン」と音楽の重低音だけが響いてくるのは、これが原因です。
更に厄介なのは、部屋で聞こえる感覚だけでは、音源の特定が難しいです。
筆者は隣の部屋から聞こえてくると感じましたが、管理会社に連絡したところ隣室は「空室」でした。
結局この騒音トラブルは、管理会社に連絡し全戸に注意用の張り紙を配る対応をしていただいたところ、連日響いて来た「ズンズン」という重低音はなくなりました。
それでも時折「ズンズン」と聞こえてきますが、以前ほど頻繁ではないので我慢することにしています。
このように騒音トラブルでお悩みの方はぜひ弊社、環境スペースにご相談…。
いや、ちょっとおかしいですね、この手の事案では被害者の筆者ではなく、可能な限り加害者である人物が防音対策をしてほしいものです。
このブログでは主に音に関係するテーマで色々なジャンルの話題を取り上げております。 筆者のアパートにも防音対策をしたい今日この頃です。最後までお読みいただきありがとうございました。

お酒好きの友人から、2ヵ月遅れの誕生日プレゼントでいただいた焼酎が美味しくて、つい夜更かしが続いてしまっている筆者です。
なんでも、クラシック音楽を聴かせて仕込んだお酒だったようです。
「植物にモーツァルトを聴かせるとよく育つ」、「乳牛にクラシックを聴かせると乳の出が良くなる」と聞いたことがあります。
良い音楽は、人間を含め、生き物に良い影響をもたらすことが知られています。
身近なものと音楽との関係について

生き物に音楽を聴かせる効果については、その他にも以下のような報告も聞きます。
- ・パンを作る時に音楽を聴かせたらふっくらと仕上がった
- ・プチトマトの温室で音楽を流したら甘みが増した
胎教(妊婦が精神の安定に努めて、胎児によい影響を与えようとすること)でしたら、お母さんが耳で聴いてリラックスする効果がお腹の赤ちゃんにも伝わるのかも…とも思えます。
しかし、聴覚のない植物や酵母に対して、なぜ音楽を聴かせ(しかも良い効果を得られ)ているのでしょうか。
音楽(音)が鳴る時、必ず空気の振動が発生します。
この振動が、分子レベルでの変化を促進していると考えられています。
ですので、多くの食品・飲料メーカーなどによって、音楽を聴かせた商品の開発が進められているのです。
焼酎の例

私がいただいたのは、奄美大島でつくられた黒糖焼酎です。
他にも鹿児島の蔵元で作られている、音楽仕込みの麦焼酎なども有名です。
音楽仕込みのきっかけは、蔵の中で音楽を流していたところ、スピーカーに近いタンクだけアルコール発酵が早く進むことに気づいた蔵人さん。
試しにスピーカーの位置を変えてみても、またスピーカーに近いタンクだけ発酵が早く進んだのだそうです。
当時の工場長さん曰く、その昔、「富士見酒」といって灘から江戸に船で長く揺られて運ばれた来た酒はおいしい。
だから焼酎に振動を与えることは、きっと熟成に良いのだろうと直感なさったのだとか。
この現象を少しだけ科学的に説明します。
アルコール分子や水分子の集団が振動によって小さく壊れることによって、アルコール分子の周りを水分子が包み込むような状態になります。
その結果、まろやかでアルコールの刺激が少ない焼酎になるのです。
分子レベルで熟成状態に近づくことから、疑似熟成と呼ばれているのだそうです。
日本酒の例

これが日本酒の「もろみ」です。
原料と麹・水・酵母を発酵させた「もろみ」の段階で、音楽を聴かせて作っている日本酒もあります。
酵母菌という、生きている微生物に直接作用させる点が興味深いです。
この蔵元では、さまざまなジャンルの音楽を聴かせて違いを検証してみたのだそうです。
モーツァルト、ベートーベン、バッハなどのクラシック、マイルス・デイビスに代表されるジャズ、北島三郎さんの演歌。
それぞれ75~100dB(大音量です)で聴かせてみたところ、クラシックを聴かせた「もろみ」だけに顕著な反応があったのだそうです。
特にモーツァルトを聴かせた酵母は密度が大きく上がり、死滅率が低いという結果に。
そして、まろやかで良質な品質の酒になったそうです。
担当者の見解によると、クラシックは他のジャンルの音楽に比べて音域が広く、使用している楽器・音質が多彩なことから、音楽を振動に変換した際に、酒に与える影響が大きいからなのだそうです。
更には、聴かせた曲ごとに種類の違うお酒も販売されていて、それぞれの酵母がどんな風に育ったのか、いずれ飲み比べてみたいと思いました。
お酒以外にも、効果が出るものは沢山ある
今回はたまたまお酒を例に出しましたが、音楽を聴いて育っている食品たちは他にも沢山あります。
例えば、ざっと調べただけでも沢山あります。
- ・モーツァルトを聴かせたレタス・苺・梅干し・米・鰹節
- ・ベートーベンを聴かせた醤油
- ・ロックを聴かせた味噌汁

モーツァルトの像
それにしても、クラシック(しかもモーツァルト)が圧倒的に多いことにびっくりです。
確かに、「モーツァルトの曲に多く含まれる、3,500~4,500Hz(ヘルツ)の周波数が健康面にも良い効果がある」なんてよく言われています。
音楽療法という分野があるように、私たち生き物は音楽に影響を受け、音楽に癒されて生活しています。
これは決して人間だけに限った話ではなく、他の動植物や目に見えない微生物、ひょっとしたらもっと多くの細胞レベル、分子レベルの「何か」にとっても計り知れない影響を、音楽は与えてくれているのかもしれません。

先日は、年に一度の健康診断を受けて参りました。
春からのコロナ自粛による運動不足で大変なことになっていましたが、何とか健康体には収まっており、ほっと一安心している筆者です。そこで、やはり目につくのは防音設備です。
聴力検査室内は外部騒音を遮断した、とても静かな空間となっています。
広いものだと設置場所も大変でしょうし、環境を作るのにも技術とコストがかかってしまいますから、多少狭くとも我慢するしかないのでしょう。
聴力は加齢やイヤホンの大音量などによって、否が応でも聴力は低下していくもの。
しかも最初は気づきにくい特徴を持っていますから、早期発見、予防のためにも聴力検査は本当に大事です。
本日は人間の耳と聴こえる周波数の関係について掘り下げます。
周波数と「聞こえる音」について
周波数とは、音の波が1秒間に振動する回数であり、単位は「Hz(ヘルツ)」で表します。
周波数の違いは、そのまま音の高低となり、周波数の低い(振動回数の少ない)音は低い音、周波数の高い(振動回数の多い)音は高い音、となります。
参考頁:1月30日付ブログ「何となく知っている「周波数」、きちんと説明できますか?」
人の耳は、約20Hz~20,000Hz(=20kHz(キロヘルツ))という広範囲の音を聞くことができ、これを「可聴周波数帯域」と呼んでいます。
可聴周波数帯域の中でも、聞こえやすい周波数と聞こえにくい周波数があるのです。
この、「聞こえやすい」「聞こえにくい」って一体どういうことでしょうか?
実は人間の耳は、マイクのように機械的に、一定に音を拾うわけではありません。
周波数によって耳に聞こえる音の大きさ(=耳の感度)が変わるのです。
この聞こえ方をグラフで表したものが「等ラウドネス曲線」です。
「等ラウドネス曲線」とは

簡単にご説明します。
左にある縦軸は「音圧レベル(dB)」です。
数字が大きいほど、音が大きいと思ってください。
一方、下の横軸は「周波数(Hz)」です。
赤い曲線が数本、うねうねと表示されています。
これは「人の耳に聞こえる音の大きさ」です。
もう少し専門的に言い換えるなら「ラウドネス(音の聴覚的な強さ)」を示す曲線で、単位は「phon(ホンもしくはフォン)」で表されます。
この曲線のちょうど1000Hz付近に「100」「80」「60」などの数字が見えますが、この数字が「phon」に該当します。
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例えば、上から4本目の「40ホン」に該当する赤い曲線を見ていきましょう。
ちょうど1,000Hzのところで左の音圧レベルを見ると、40dBになっています。
これは、「1,000Hzの周波数で40dBの音圧レベルの音は、人の耳で40ホンの大きさに聴こえる」ということを意味しています。
「聴こえる」感覚を規格化
この「40ホンの大きさに聴こえる」ということが重要です。
等ラウドネス曲線とは、人の耳で同じ音の大きさに聴こえる、周波数と音圧レベルの関係を表したグラフです。
例えば「40」の曲線を1,000Hzから左にたどると、200Hz付近では50dBという数値になっています。
これは、「200Hzの周波数で50dBの音圧レベルの音は、人の耳で40ホンの大きさに聴こえる」ということであり、逆に言い換えると、「40ホンに聴こえるためには、200Hzの周波数なら50dBの音圧レベルが必要」となります。
つまりは「同じ音圧レベルであっても、周波数が違うと同じ大きさに聴こえない」ことです。

もう一度「40」の曲線を見てみましょう。
3,000~4,000Hz付近で曲線がぐっと落ち込んでいますよね。
また、なだらかではありますが、400Hzから800Hzあたりにもゆるやかな谷が見て取れます。
つまり、この付近の周波数の音は、音圧レベルが低くても、すなわち小さな音でも「よく聞こえる」、「聞こえやすい」ということになるのです。
以前のブログで、蚊の羽音である350Hz~600Hzあたりはよく聞こえる周波数帯だ、という話を書きましたが(【蚊の音を徹底理解!】近年めっきり少なくなった、憎いアイツと周波数の話)、それよりも更によく聞こえる周波数帯(3,000~4,000Hz)があるということがわかります。
逆に100Hz以下の低い周波数帯域や、5,000Hz以上の高い音は聞こえにくいという特徴があることがよくわかるグラフになっています。
当グラフは周波数や音圧レベルというのは物理的に測定することのできる、ある意味絶対的な数値です
しかし個人的に驚いたのが、「同じ音の大きさに聴こえる」という感覚値が規格化されているという点です。
2003年の規格改正時には、延べ約19,000人の被験者によって200万回もの実験・測定が行われたとのことです。
等ラウドネス曲線は身近なもので使われている
ここまで学んだ「等ラウドネス曲線」ですが、以下のようなもの利用されます。
利用例
- ・家電製品のお知らせ音
- ・音楽制作・MIXにおいて、全体の音量バランスを取り、違う高さの音が等しく聴こえるための基準にする
実は私たちの身近な物や音楽のために、利用されているのです。
赤ちゃんの泣き声も、人間が聞こえやすい3,000~4,000Hzの周波数帯域になっているようです。
赤ちゃんの泣き声を敏感に聞き取れるように、人の耳が進化していったのだろうと考えると、なんだかほっこりします。
本日は、「人間の耳」と「聴こえやすい周波数」のお話でした。
音にまつわる専門的なお話も、できるだけわかりやすくお伝えしていきますので、こまめにサイトをチェックしてみてください。

先日はテレビの音楽番組で、久しぶりにアーティストの皆さんがライブ演奏・歌唱をしているのを目にしました。
約4か月ぶりに演奏できる喜びを爆発させていたり、ファンに歌を届けられる嬉しさで涙が溢れていたりするアーティストの方々の姿を見て、こちらまで目頭が熱くなってしまいました。(年々涙腺が弱くなってくるお年頃・・・)
コンサートやライブを今まで通り楽しめるようになるまでには、もう少し時間がかかるかもしれませんが、アーティストの方の想いは、私たちにしっかり届いています。頑張って乗り越えていきましょう。
ところで。「音楽」って、「音を楽しむ」から「音楽」だと思っていたのですが、実は違うのだそうです。ご存知でしたか?
これまで音に関するブログをお届けしてきましたが、本日は少し趣向を変えて、「音楽」という言葉を題材にした「漢字」のお話です。
漢字の種類と成り立ち
漢字はその成り立ちから大きく4種類に分類されます。それぞれ簡単にご紹介しましょう。

象形文字(しょうけいもじ)
恐らく一番なじみがあり、わかりやすい漢字のグループではないでしょうか。ものの形からできた漢字です。
他にも、雨・水・弓・皿・羊・良・卵 などがあります。

指事文字(しじもじ)
目に見える形では表しにくい抽象的な事などを点や線で表現した図をもとにしてできた漢字です。
他にも、中・小・天・末・寸 などがあります。
会意文字(かいいもじ)
二つ以上の漢字の字形や意味を組み合わせて作られた漢字です。
日+月=「明」
火+田=「畑」
木+木+木=「森」などが代表的な漢字です。
形声文字(けいせいもじ)
音(発音)を表す漢字と意味を表す漢字を組み合わせて作られた漢字です。漢字の80~90%はこの形声文字なのだそうです。
門+口=「問」
田+丁=「町」
口+未=「味」など。(詳しい説明は割愛させていただきますね。)
「音」「楽」の成り立ちは?

さて、本題に戻ります。
「音楽」の「音」という漢字ですが、「口から出た声」を意味する会意文字です。
元々は「言」という漢字の下の「口」が、神様への祈りの祝詞を入れる器を表しています。そして、祈りに対しての神様の答えが「口」の中の横棒で表されているのだそうです。
次に「音楽」の「楽」という漢字です。これは象形文字ですので、何かの形がベースになっています。
さて一体何の形なのでしょうか。

答えは、「楽器」です。
神事の時に、どんぐりをつけた木を楽器として鳴らしていたことから「楽」という字が誕生しました。「楽」の旧字は「樂」と書きますが、「白」の左右に「糸」の上半分がありますよね、これは、どんぐりを繋げていた糸飾りなんだそうです。
つまり、「音」とは「人や神の声」
「楽」は「楽器の音」 をそれぞれ表しているのです。
人や神の声、楽器を奏でる音は、人々を喜ばせたり笑顔にさせたりすることから、「たのしい」という意味に「楽」の漢字が後から当てはめられました。
それなので、「音を楽しむ」から「音楽」なのではなく、音楽そのものが「楽しい」という言葉の語源になっているというわけなのです。
語源を知ると、ますます「音楽」が愛おしくなってきませんか?
環境スペースはこれからも「音楽」と「音楽を愛する人たち」を応援し続けて参ります!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

本格的な梅雨ですね。皆様いかがお過ごしでしょうか。
せっかくなので今日は「音と湿度」についてご紹介します。
音の聞こえ方と湿度の関係
一般的に、「湿度が高いと音がこもって聞こえる」と言われます。
そのため「音が響かない」とか「音の抜けが悪くなる」などと表現されます。
音が響かない理由として、湿度の高い空気は、空気中から多くの水分を含んでいるためです。
湿度の高い空気が振動を吸収してしまうことによって、音がこもって聞こえるのです。
もう少し詳しく見てみましょう。
音にも、低い音や高い音がありますが、この音の高低は「周波数」によって決まっています。
※過去ブログ:「何となく知っている「周波数」、きちんと説明できますか?」
低い音は、持っているエネルギーが大きいので、湿度が高く重たい空気にも影響されにくいという性質を持っています。
(注)ここで言うエネルギーの大小とは、音の大きさ(音圧レベル)の大小とは違うものです。
一方高い音は、波長が短く持っているエネルギーも小さいので、空気中の水分などにエネルギーを吸収されてしまうのです。
そのため、湿度の低い空気中よりも音の減衰(小さくなってしまうこと)が早くなり、その結果「音がこもって」聞こえてしまうのだそうです。
※過去ブログ:「遠くで汽笛を・・・じゃなくて、電車の音を聞きながら。」
L.A.などは平均湿度が30%程度と乾燥しているので、非常に「抜けの良い」音が録れると人気でした。音楽と湿度の意外な関係
音楽と湿度にまつわる話をもうひとつ。
音楽を構成する要素は、「和音(ハーモニー)」「リズム」「メロディー」の3つと言われています
そして、音楽文化を調べてみると、地域によって基本となる要素が異なっていることがわかります。
西洋音楽の基本要素は「和音(ハーモニー)」です。
アフリカ音楽は「リズム」、日本をはじめとする東洋音楽の基本は「メロディー」です。
この違い、実はその地域の環境や建物と深い関わりがあるようなのです。

古い民家や建築物を思い描いてみてください。
日本の建築物の多くは木造です。
木材や畳は、吸湿性があり熱伝導率が低いです。
梅雨がある高温多湿な日本の気候に、実によくマッチした建物なのといえます。
また、木造建築物は、音を吸収しやすいという性質も持っています。
音を出してもすぐに吸収されてしまい、長く響きません。
そのため、日本古来の楽器は「出だしの音を聞かせる」ことが得意な楽器が多いのです。

箏や三味線、琵琶。それから、お囃子の鉦(かね)や笛・太鼓なども同じです。
尺八などは、音を長く伸ばして演奏しているようにも思えますが、出だしの音が強く、アクセントになっているのがわかります。
こういったことから、音を長く重ねて和音(ハーモニー)にするよりも、単音でメロディーを奏でるというスタイルが日本の音楽文化の主流となっていったそうです。

一方、湿度の低いヨーロッパでは、石やレンガ造りの建物を多く見かけます。
これらは木造とは違い、音を響かせる(反響させる)性質の強い建物です。
そのため、いわゆる「クラシック音楽」では出だしの音だけでなく、その後に響く音を幾重にも重ねて和音(ハーモニー)を楽しむような構成が多く見られます。
象徴的なのは教会音楽でしょう。石造りの教会に響くオルガンの音。鳴り始めよりも後ろの音を響かせることで、幻想的で厳かな空気が流れます。

弦楽器を比較してもおもしろいです。
箏や三味線は、爪や撥(ばち)ではじいたり叩いたりするようにして音を出すのに対して、バイオリンなどは弓を「ひいて」演奏します。
これも、「出だしの音」を強調するのか、伸ばす音を聞かせるのかの違いなのではないでしょうか。
文化の違いは「あの歌」にも

延期になってしまった東京オリンピックですが、開催された暁にはきっと何度も耳にすることになるであろう「君が代」。
実は当初はメロディーしかなかったことをご存知でしょうか。
10世紀に編纂された「古今和歌集」の中の短歌を、明治2年に事実上の国歌として採用したのが原型で、その後明治13年にメロディーが付け直されました。その時まだメロディーだけだった「君が代」にハーモニーが付いたのは、それから13年後、付けたのは、フランツ・エッケルトというドイツ人の音楽教師だったそうです。
音や音楽から、その背景に思いを馳せるのは楽しいですね。
改めて、文化というのは、自然や環境の上に成り立っているのだということを感じた梅雨の日でした。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

自粛期間中に、新しい趣味を見つけたり習い事を始めた人も多かったのではないでしょうか。
昔と違ってオンラインレッスンなども充実しているので、いろいろな分野から自分にあったレッスンを選べるのは魅力ですよね。
英会話やパソコンなどの教養系から、ヨガやダンスなどの運動系、パンやお菓子も含めた料理系、陶芸や絵画などのアート系など、本当にいろいろなジャンルの趣味や習い事がありますが、私が個人的におススメしたいのは、ピアノやギターなどの音楽系です。
そもそも大人が習い事を始めるきっかけの多くは、スキルアップや自分磨き、気分転換やストレス解消などといった理由が挙げられます。では何を習おうかと考えた時に
・仕事や生活に役立ちそうなスキルを身に付けたい
・大人になってから興味が出てきたものを学んでみたい
・子どもの頃に習っていたものを、もう一度始めてみたい
などがポイントになっていることが多いようです。
役立つスキル、伝統の技、それともイマドキ?

仕事や生活に役立つスキルと言えば、やはり教養系でしょうか。語学やPCスキルはそのまま仕事に直結するケースも多いですね。中には、必要に迫られて、という方もいらっしゃるでしょう。また、手書きが貴重な時代だからこそ、ペン字や書道などで綺麗な文字を身につけたい、という方も。
誰でも一度は経験のある料理も、実際に基礎から習うとその手順や調理方法に「目から鱗」なんだそうです。上級者は更なるアレンジレシピでご家族やお友達をおもてなしできますね。

茶道や陶芸などは、大人になってから興味を持ったという方も多いのではないでしょうか。お茶会で着たいからと、和服の着付にまで手を伸ばしたのは私の友人です。また、子どもの頃にはまだ一般的でなかったものもありますよね。仕事帰りにボルダリングに興じたり、おしゃれなキャンドルやハーバリウムを作ったりして楽しむのも今の大人ならでは、という感じです。SNSに素敵な写真を載せたいからカメラ教室に通う!というのもイマドキっぽい。
あの習い事をもう一度

ピアノやバレエ、水泳などは、子どもの頃に習っていたけれど、いつしかやめてしまったという方も多いですよね。でも生活が少し落ち着いてきて、もう一度習い直そう、という方が実は今とても増えているんです。お子さんを習わせているうちに自分もまた始めたくなった、とか、まったく初めてのものにチャレンジするのは勇気がいるから、などといった理由で、かつての趣味や習い事を再開する方が多いのです。確かに、勘を取り戻すには少し時間がかかるかもしれませんが、0からスタートするより上達も早いですし、子どものうちに経験したことというのは、案外身体が覚えているものです。

さて、子どもと大人の習い事で決定的に違うことは何でしょうか。
それは、目的意識やモチベーションではないか、と言われています。
子どもの頃は、親に「やりなさい」と言われて通っていませんでしたか?(もちろん、全員そうだと言っているわけではありません。)
「行ってきまーす。」と家を出て、実は近所の公園でさぼっていたこと。
次のレッスンまで家で全く練習していなくて、ピアノの先生にばればれだったこと。
こんなかわいい経験、誰でも一度くらいはあるのではないでしょうか。
しかし大人は違います。
仕事や家事、育児や介護など、本当に忙しい生活の中で貴重な時間をやりくりして(しかも自分で支払って!)、「これをやりたい」と思って習うのです。

例えばピアノの場合。
習い直す方も多いですが、実は大人になってから始める方もたくさんいらっしゃいます。
演奏する曲も、以前のようにクラシックだけではなくJ-POPやアニメソングまで選択の幅が広くなっています(昔は邪道と言われていました・・・)。好きなアーティストのあの曲が弾けるようになりたい、と思ってピアノを始めたっていいんです。それが上達するための大きなモチベーションとなるのですから。
もう5、6年くらい前でしょうか、不器用な父親が、こっそり練習していたピアノを娘の結婚式で披露するという感動的なCMがありましたね。いまだに鮮明に覚えています。(ご存知ない方は「CM 結婚式 父 ピアノ」でぜひ検索を。)
習い直す方も、新しく始める方も、そしてもうずっと長く続けていらっしゃる方も、趣味や習い事は忙しい毎日の息抜きになり、日々の生活に潤いをもたらしてくれます。そして、新しいコミュニティができ、交友関係も広がります。予想もできないことが起こるこんな世の中ですが、無理せずマイペースで、長く楽しく続けていきましょう!
そうそう、思いっきりピアノを弾きたい方は防音対策もお忘れなく!

つい先週の話です。
朝寝坊をしようと決め込んだ土曜のAM6:00・・・のはずが、
前日に自動給餌器のスイッチを入れ忘れてしまったせいで、飼っている 猫 に容赦なく叩き起こされてしまいました。ごめんよー。
しかし動物の体内時計って、なんであんなに正確なんでしょうかね。誤差推定55秒(筆者調べ)。アラームの鳴る10秒前からスタンバイされていた日もあって、驚きを通り越して怖くなる時すらあります。
ただ、いくらペットOKのマンションとは言え、あれだけ激しく鳴かれたらさすがにお隣さんにも迷惑かけてしまう、と内心かなりヒヤヒヤしてしまいました。ペットを飼っている方ならきっと、誰でもこのような経験ありますよね。
で、ふと気になったんです。
猫ですらこんな大声で鳴くのだから、すべての動物で鳴き声選手権したら誰が一番大声出せるんだろう、って。
そんな今日のブログ、ゆるーくスタートしたいと思います。

まず、身近な音がどのくらいの大きさなのか、先にイメージしておきたいですね。
以前、こちらの記事(「身近な音とその大きさ」)でも詳しくご紹介いたしました。
シチュエーションにもよるでしょうが、概ね60~70dBを超えるとうるさく感じそうですね。
これをふまえて。
まずは猫と犬の鳴き声

猫の鳴き声は、約75dB。
もちろん、個体差や鳴き方によるボリュームもあるでしょうが、寝ている人間を起こすくらいの鳴き声であれば「うるさい動物」ゾーンに入ってしまいますね。掃除機や地下鉄の車内の音くらいのレベルに到達しています。マンションで飼う時は、やはりご近所に配慮した方が良いでしょう。

ネコと並ぶペットの王道、犬の場合はどうでしょうか。
犬種にもよりますが、ネコより大きな声が出ていそうですよね。
犬の鳴き声は、90dB~100dBです。電車のガード下や、救急車のサイレンの音とほぼ同じです。更には「ワンッ!」と吠えた時のアタックも相まって、苦手な方からするとやはり相当「うるさい」と感じられてしまうでしょうね。無駄吠えしないようにしつけておかないと、ご近所クレームになりかねません。
陸上生物の頂上対決!
うるさい動物 一位は!

さて、ペットではない動物にも注目してみましょう。
これからの季節、特に郊外では大合唱が聞かれるカエルさん。
アマガエルだと50dBくらいなのですが、ハワイなどに生息している「コキーコヤスガエル」という種類のカエルの鳴き声は100dB近くにもなるそうです。イヌの鳴き声と同じくらいだなんて、相当な大きさですよね。できることなら合唱して欲しくない、かも。

私の母方の実家にはニワトリがいるのですが、威勢の良い「コケコッコー!」の鳴き声も約100dB。
余談ですが、オンドリは鳴く時に自分の耳が塞がるような構造になっているので、大声で鳴いていても自分にはさほどうるさく聞こえていないのだそうです。何かずるい。
大きな動物も見てみましょう。
百獣の王、ライオンは約115dB。車のクラクションの音と同じレベルです。サバンナだと8㎞も先まで届くのだそう。
ゾウも負けていません。約117dBで、こちらも10㎞近く声が届くのだそうです。ただしゾウの鳴き声には、人間の耳で聴くことのできない低い周波数が多く含まれています。なので、私たちに聞こえているより実はもっと大きな声を出しているのですよ。
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スズドリ(Wikipediaより)
まだまだいます。
アマゾンに生息する「スズドリ」という鳥のオスが求愛の時に出す鳴き声は、なんと125dB。ロックのコンサートでスピーカーの真横に立っているくらいの音量です。
中南米に棲む「ホエザル」というサルは、それを更に上回り140dBにもなるそうです。
陸上の動物だと、恐らくこのあたりで決勝戦が行われそうですね。
水の中から参戦!

水中にも目を向けてみましょうか。
クジラの仲間は188dB。
実は、空気中と水中では音の伝わり方が違うため、同じ土俵で比べるのがちょっと難しいのですが、空気中の音の大きさに換算すると約126dBになります。ただし、クジラもゾウと同じように、低周波域の鳴き声でコミュニケーションを取っているので、なかなか人間には聞こえないのです。
※空気中より水中の方が4~5倍ほど音がよく伝わります。
イルカの仲間は水中で220dB。こちらは逆に高周波数帯(超音波、なんて言ったりもしますね)で「エコーロケーション」と呼ばれるコミュニケーション方法を取っています。
恐らくこのあたりがメダル確実と思われますが、2003年の研究によると、マッコウクジラの鳴き声が水中で236dBを記録した、というデータがあるようです。
もちろん水中でのデータなので、空気中での数値に換算すると少し小さくはなりますが、それでもとんでもなく大きな声だということは想像できます。
一体なぜこんな大声を出せるようになったのか、進化する過程で、大声を出さなくてはいけない要因があったのか、その大声に耐えうる身体はどんな構造になっているのか、など、考えだしたらきりがなくなってしまうのでこのあたりでやめておきますが。
言えるのは、
「動物って不思議でおもしろいな」ということと、「ペットを飼う時は、防音対策もしっかりしましょうね」ということです。

今年は全国的に平年よりも遅い梅雨入りになるそうですね。 ※追記あり
5月19日のウェザーニューズの発表では、すでに梅雨入りしている沖縄や奄美地方を除く九州から東北にかけて、おおむね6月中旬に梅雨入りすると予想されています。
そう、今年も湿気と戦うシーズンの到来です!(追記:記事公開後の5月30日には九州南部、5月31日には四国地方が梅雨入りし、関東地方も6月8日頃と、ほぼ平年並みの予想になったようです。)
楽器や機器に丁度いい湿度は?

環境スペースのブログ内でも、過去に何度か防音室の室内環境についてご紹介させていただいたことがありました。
楽器によって多少の違いはありますが、だいたい湿度50%前後をキープするのが良さそうですね。
特に、木が使われている楽器は湿度の影響を強く受けてしまいます。
ピアノなどの大型楽器はもちろんのこと、管楽器(特にクラリネットやオーボエなどの木管楽器)、バイオリンなどの弦楽器、ドラムなどの打楽器なども、温度や湿度の管理が重要になってきます。

楽器の演奏以外でも、オーディオルームや自宅カラオケ、自宅での音楽制作(DTM)などの用途で防音室の工事をなさる方や、最近は、動画などの配信コンテンツを作成するために自宅で録音したり編集したりする目的で防音室を作る方も増えています。
そのような方の防音室には、様々なAV機器、カメラ、マイクなどがたくさんあるのではないでしょうか。
一般的に、電気製品の製品試験で基準とされている環境湿度は65%だそうです。ただ、これは主に家電製品などを中心とした数値。音響系の製品はもう少し湿度に対してシビアなようですが、明確にしているメーカーさんが多くないので利用者さんのお知恵をお借りしたところ、楽器と同じくらい50%前後を目安にしている、というご意見がほとんどでした。特にスピーカーやマイクは振動部が湿度の影響を受けやすく、40%程度と低めに湿度管理をされている方が多くみられました。
これからの季節、日本の梅雨から夏にかけての平均湿度は75%以上にもなります。
エアコンや除湿器などをうまく使って、湿度管理をしっかりと行いましょうね!
マイクは大きく分けて2種類
ところで。
マイクの話が少し出てきましたが、マイクって大きく2種類あるのをご存知ですか?
ハンドマイクとスタンドマイク?←それ、バンドのボーカルさんの選択肢。
ハンドマイクとヘッドマイク?←それ、歌って踊る人の選択肢。
ごめんなさい、ちょっとふざけました。
「ダイナミックマイク」と「コンデンサーマイク」です。よく知っている方は、この先読み飛ばしていただいてOKです。
音とは空気の振動であることはみなさんご存知だと思います。ダイナミックマイクとコンデンサーマイクは、音の振動を電気信号に変換するしくみが違うのです。

ダイナミックマイク
ダイナミックマイクは、ライブハウスやリハーサルスタジオ、講演会、カラオケボックスなどで使われることが多く、耐久性が高いという特徴があります。そして、比較的湿度に強いこともメリットです。

コンデンサーマイク
それに対してコンデンサーマイクは、レコーディングスタジオなどで多く使われており、歌や楽器演奏などの音を繊細に拾うことが得意なマイクです。その代わり湿度や振動に弱く、スタンドや天吊りなどで固定して使われることが多いマイクです。
用途に応じて指向性もいくつかのタイプがあります。正面からの音だけを拾うもの(単一指向性)は、ハウリングが起こりにくいというメリットがあり、最も一般的です。対談やインタビューのようにマイクを挟んだ表と裏の2方向から拾うもの(双指向性)や、大人数での使用に向いている、どの向きからも拾うもの(全指向性または無指向性)などがあります。
漫才でおなじみ、あのマイクは?
お笑いの好きな方、漫才をしているコンビを思い浮かべてみてください。 ステージ上のコンビの真ん中に、ほぼ必ずといっていいくらい、ちょっと四角い形をしたスタンドマイクがありませんか? あれも、コンデンサーマイクです。しかも実はとても高性能なもの。 先ほどご説明した指向性で言うと、単一指向と全指向を切り替えることができるモデル。ステージ上では全指向性にして、広い範囲の音を明瞭に拾うことができるのだそうです。 SONY社の「C-38B」という機種で、通称「サンパチ」と呼ばれ、実に50年もの長きにわたって親しまれているマイクなんですよ。名前を聞いたことのある方も多いかもしれませんね。
本日は、防音室の湿度の話からサンパチマイクまで、ずいぶん話が飛んでしまいましたが、こんな息抜きブログも書いていますので、時々遊びに来てもらえると嬉しいです♪
突然ですが、みなさま「ASMR」ってご存知ですか?
若い方、特に10代くらいの方の間では、今更?そんなの常識!なくらい認知度が高い「ASMR」ですが、30代以上の方にとっては、あまりなじみのない単語かも知れませんね。

ちょうど先週のブログで、音を聞いてイライラするメカニズムを、脳科学的な見地からご説明させていただきましたが、本日はその真逆。
不思議な心地よさで「脳がとろける音」とも言われる「ASMR」についてのお話です。
■「ASMR」とは?

正式名称は「Autonomous Sensory Meridian Response(自律感覚絶頂反応)」と言います。
略称は「アサムラ」「アサマー」「アスマー」「エー・エス・エム・アール」など。
私たちが普段何気なく聞いている音をマイクで録音し、それをヘッドフォンやイヤフォンで聞くことによって、癒されたり、ゾクゾクするような心地よさを感じたりするような反応や感覚のことです。その不思議な気持ちよさから「脳のマッサージ」などと表現されることもあるそうです。
日本では、2015年頃から動画サイトを中心に広く知られるようになりました。
2019年上半期には、女子中学生・女子高生流行語大賞の「コトバ部門」で1位を獲得し、日経トレンディ発表の2020年ヒット予測でも8位にランクインしています。
■具体的にどんな音?
本のページをめくる「サラッ」という音。
炭酸水のはじける「シュワシュワ」という音。
キーボードをタッピングする「カタカタ」という音。
髪の毛を切る「シャクッ」っという音。
スライムを潰す「ぶちゅっ」という音。
固形石鹸を彫刻刀で削る「ゴリゴリゴリッ」という音・・・
など、本当に多岐にわたっているのですが、
一番人気なのは「咀嚼音」なのだそうです。

例えば、フライドチキン。
カリッとした衣を噛む音、その中のジューシーなお肉にかぶりつく、ちょっぴり湿度の高い音。
想像しただけで、なかなかの快感ですよね。
その他にも、
コーンフレークやグラノーラを食べる時のザクザクした音、
たくあんのパリポリした音、などなど・・・。
でも、ちょっと待って。
咀嚼音ってどちらかというと、人前では嫌われることの多い音ですよね。
食べている時にくちゃくちゃと音を立てることは、マナー的にも美しくありません。
それなのになぜ「ASMR」として絶大な人気を集めているのでしょうか?
■自分の感覚として捉えることのできる音だから
実は「ASMR」は、スピーカーなどを通して聞くよりも、ヘッドフォンやイヤフォンで聞くのが一般的。
特に咀嚼音の場合、ヘッドフォンやイヤフォンで聞くことによって、他人が発生させている音ではなく、あたかも自分が食べている音であるかのように聞こえ、感じるのだそうです。

その他にも「耳かきの音」なんてものもあります。
これは「バイノーラル録音(バイノーラル=両耳の、という意味)」と言って、特殊なマイクを使い、左右・上下・更には遠近の距離感などを感じられるように立体的に録音された耳かきの音をイヤフォンで聞くことで、まるで自分が気持ちよく耳かきをしてもらっているかのような感覚になるというもの。
その理由として、次のようなことが考えられています。
脳の中で、聴覚を処理する部分と触覚を処理する部分はとても近い場所にあります。そのため、音を聞くことによって起こる聴覚の刺激が、その近くの触覚の処理分野にも影響を与えてしまい、その結果、ゾクゾクするような感覚が起きてしまう可能性が高いのだそうです。
■聴覚は皮膚感覚に近い?
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側線
(画像は「海釣りのあれこれ」様よりお借りしました)
他にも、聴覚についての様々な説を探すことができました。
金沢工業大学で音楽音響学や音楽心理学がご専門の山田真司教授によると、人間の聴覚は魚類などが持つ側線の名残だと考えられているのだそうです。
側線とは、身体のどちら側から水が流れているかを感じ取るための器官で、それが発達して「内耳」という耳の一番奥にある部分になったのだと言われています。側線とは、いわば皮膚感覚であるため、聴覚と皮膚感覚はとても近い関係にあるのだそうです。
聞いているだけなのに、まるで自分が体験しているような感覚になるのには、こういった体のつくりや進化に起因していると思うと、とても興味深いですね。
本日は、脳のマッサージとも言われる「ASMR」についてお話しさせていただきました。
この「ASMR」ですが、実は娯楽のためだけではなく、ストレス解消や睡眠導入の効果を目的として作成されたりもするんです。
医学的に実証されてはいないものの、実際にASMRによって慢性的な疼痛が緩和されたという研究結果もあるのだそうです。
色々とストレスの溜まる日々が続いていますが、そんな時はこういった音の力なども借りて上手にストレスを発散させたりリラックスしたりしていきましょう!