TEMPOLOGY vision Vol.17 「SoundScape より愛をこめて」内容をご紹介 第一弾 | 防音室・防音工事は環境スペースにお任せ|サウンドゾーン

TEMPOLOGY vision Vol.17 「SoundScape より愛をこめて」内容をご紹介 第一弾

(2024/07/09)

TEMPOLOGY vision Vol.17  SoundScape より愛をこめて

第一弾
特集 環境スペースプロジェクト 
インタビュー
取材「Felice」 × 環境スペース株式会社 Design&設計
竹田直紀


一般社団法人テンポロジー未来機構 TEMPOLOGY vision Vol.17 「SoundScape より愛をこめて」 が2024年6月30日に発行されました。

この特別な一冊に掲載されている代表的な環境スペースの音響建築と、その魅力を数回にわたってご紹介いたします。
また冊子には載っていない、音楽ホールの誕生にまつわるお話もご一緒にお届けします!

今回は、環境スペース 設計部部長・デザイナー 竹田直紀のインタビューをお送り致します。竹田の設計にまつわる、深い内容です。

環境スペースプロジェクト
TEMPOLOGY vision Vol.17 「SoundScape より愛をこめて」抜粋 第一弾
取材・文:中川寛子 写真:千葉正人
インタビュー
竹田 直紀
環境スペース(株)設計部部長
フェリーチェ音楽ホール

フェリーチェ 音楽ホール

商業デザインを手掛ける会社から音楽のための空間作りに転じ​た環境スペース株式会社設計部部長の竹田直紀が、最初に手掛け​たホールが2014年に竣工したフェリーチェ音楽ホール(埼玉​県川口市)です。 オーナーがピアノ界のロールスロイスとも称されるベーゼンド​ルファーコンサートグランド290インペリアルを手に入れたこ​とを機に2階建ての賃貸アパートの一部に音楽ホールを作ろう​と計画したものです。
フェリーチェ音楽ホールのエントランス
 
日本の音響設計の草分けである永田音響設計出身の設計担当、スタジオを数多く手掛けてきた制作担当のベテランお2人に一から教えていただくと同時に竹田もサントリーホールを始め、国内外のホールを巡り歩き、聴覚を鍛えたそう。結果、出来上がったのは細部に至るまでこだわりに満ちたホールでした。
フルコンサートピアノ、ベーゼンドルファーのインペリアル
「2層吹抜け、5mの天井高があるホールで、壁面の下部3mにはオーナーのご友人が所有する山林のタモを使ったリブを配してあります。 誰にも見えない床下にも音を豊かにする工夫が凝らされています。それが大引きのピッチ。一般には均等に半間ピッチで施工しますが、ここではハの字にするなどランダムに配されています。配列が均等だと音の伝播も均質になり、深みに欠ける。手間をかけて不規則にすることで異なる固有振動が重なって響く空間になっているのです。」
ひとつずつ形状の異なるリブ
ひとつずつ形状の異なるリブを組み合わせて利用しており、あたかも森林の中にいるような気持ちの良い音環境を実現しました。見た目にも質感のある、美しい素材です。 
フェリーチェ音楽ホールの音響建築
天井も多面体。拡散形状、屏風折れを採用。
壁面には音響効果を高めるための計算に基づく湾曲(=R)が入っています。
フェリーチェ音楽ホールの座席
これ以外にも図面通りだけを良しとするのではなく、施工中に現場で墨出しを行って確認を重ねるなどべテラン2人のやり方に竹田は感銘を受けました。
音楽のための空間は残響時間設定からスタート、感覚ではなく、形状、建材の数値などから計算される論理的なものですが、その結果については聴覚という感情も含む主観が判断します。その深さ、普遍性に音楽のための空間作りの面白さに目覚めたといいます。
フルコンサートピアノ、ベーゼンドルファーのインペリアル
フェリーチェ音楽ホールの控室
「現在は視覚偏重の時代。以前手掛けていた店舗デザインは視覚的なアプローチが中心でそこにトレンドなどを加味。時代を反映する面白さはあったものの、時間が経つと古く感じられる面もありました。ところが、音楽、特にクラシック音楽のための空間には流行はなく不変。10年前に作ったホールには今行っても新鮮な驚きがあります。」
重厚なピアノの佇まいに合わせて作られた空間はクラシックに加え、幅広いジャンルのコンサートなどのほか、アルバム制作、レコーディングなどにも使われています。

– TEMPOLOGY vision Vol.17 「SoundScape より愛をこめて」抜粋
オーナー 三田様の地域の音楽活性化への想いを感じました
今回の取材では「Felice 音楽ホール」に環境スペース 広報部もお伺いさせていただき、施主 三田様とお会いしました。
                      
着いてまず思ったことは、壁面の下部に使われているタモ材、写真では整然と並んでいるように見えますが、実際は1本1本がとても大きく、なんとそれぞれ太さが違うんです。
タモ材は3メートルもあり、運ぶのにかなりの労力を要したとおっしゃっていました。
美しく見えるのは、緻密に設計・施工されているからこそです。
竹田含め、建設に関わった人々皆で建設前の現地に集まって構想を練ったり、タモ材を下ろすのを手伝ったそうで、一致団結した制作であったことも伺えます。
フェリーチェ音楽ホールの施主、三田様
控室のソファはなんとcassina
次に気になったのはやはり、常設のピアノ ベーゼンドルファーのインペリアル。ピアノ界のロールスロイスと称されるだけあって、威厳がすごいです。
通常のグランドピアノは鍵盤の数が88鍵ですが、このフルコンサートピアノには97鍵あり、普段は聞けないその鍵盤の低音は音で体が震える感覚がするくらい。素晴らしい音環境です。
フェリーチェ音楽ホールの施主、三田様
三田様自身、マンドリンという楽器を演奏する団体で国内外で活動されていて、音にこだわりがありました。
また「Felice 音楽ホール」ができる前は、練習場所を探すのに毎回苦労していて、いつかは自分のホールを作りたいという強い想いがあったそうです。

運営も三田さまご自身で行なっており、時折地元の学生さんに無償でお貸し出して運営を手伝ってもらったりと、地域に密着し、若い人たちに本格的な音響空間と楽器の音を提供されています。

建てた当時に抱いていた想いが、今の運営にも活きていますね。

控室では演奏しに来た方々に、ゆったりと寛いでもらえるよう、ソファは高級なもの(なんとcassinaのソファでした…!)を置いたり。

地域の音楽活性化の活動に、愛を感じます。 – 環境スペース株式会社 広報部
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テンポロジー未来機構とは

テンポロジー未来機構は、都市、建築、ファッション、アート、デザイン、テクノロジー、エンタテインメントの各分野を横断的・複眼的に眺め、分析し、課題の抽出にあたってきた創設 25 年になる会員制の異業種交流団体である。2016 年から再開した紙媒体制作で、世の中を横断的・ 複眼的な見方で問題を探り、解決の糸口を見出すべく場の提供を目指している。

Vol, 17 企画内容

Vol.17 では、ストレス多い日々の健やかに過ごすに重要な要素とようやく捉えられるように なった「音・音響・音環境」について丸ごと一冊取り組む。 個人宅のピアノ室からプロユ ースの音楽スタジオ・音楽ホールまで、「音」 の専門家として、『防音・騒音対策』、『残響調整』 を行い、『快適な音場環境づくり』をプランニングする環境スペース(株)の仕事に焦点をあて、 人間が生活する上で欠かせない「SOUND SCAPE―音の風景」を読み解く。

ページ構成
■Cover Story:森田恭通(グラマラス代表) GMOグローバルSTUDIO
■「ドイツ音環境の現状」 服部 圭郎(龍谷大学教授 ベルリン工科大学客員教授)
■「音環境の成熟が示す未来の風景」 嶺島 伸治 (環境スペース株式会社 代表)
■「SOUND SCAPEデザインの可能性」 斉藤 尋己 (Sound Scape デザイナー/アーティスト)
■Session:「音環境の民主化を目指して」 若杉 浩一 (武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科教授) × 嶺島 伸治 (環境スペース代表)
■TEMPOLOGY Scape:アップリンク吉祥寺 シネマ・チュプキ・タバタ 平塚 千穂子
■Session:「人の五感に影響を与える映画館づくり」 浅井 隆(アップリンク代表) × 嶺島伸治(環境スペース代表)
■寄稿:「映画と音について思う 二、三の事。」 高崎卓馬
■「『聞き入る文化』の創造をめざして 」 上田 渉(株式会社オトバンク 代表取締役社長)
■文化の発信地 IDÉAL TOKYOに見る 音響と空間デザイン:小泉 裕 × 分林 実芳子
■環境スペースプロジェクト
 取材「Felice」 × 環境スペース株式会社 Design&設計 竹田直紀
 取材「TUTTO BUONO」 × 環境スペース株式会社 Design&設計 竹田直紀
 取材「Ebila Hall」 × 環境スペース株式会社 環境計量士 杉山 操・Design&設計 竹田直紀
■Session:「FENDER FLAGSHIP TOKYOとKEF Music Galleryにおける音の工夫」 アストリッド・クライン マーク・ダイサム 久山幸久(KDa) × 嶺島伸治(環境スペース代表)


               
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