【音の伝わり方】遠くで汽笛を…じゃなくて、電車の音を聞きながら。
突然ですが、夜遅く、普段は聞こえない遠くの電車の音がかすかに聞こえてきた、なんて経験をお持ちの方、きっといらっしゃいますよね。
昼間より静かなんだし、当たり前じゃないの?
ごもっとも。
でも実は、それだけの理由ではないんです。
本日は、気象条件と音の関係についてのお話です。
いつ、どんな時に聞こえる?
電車や車、汽笛などの遠くの音がよく聞こえるという現象は、ちょうど今のような寒い季節の夜によく起きることが知られています。
となると、どうやら気温が関係していそうですね。
そこで、気温と音の伝わり方を簡単な絵で示しましたので、以下をご覧ください。
昼と夜では音の伝わり方は異なる
昼は太陽に照らされて、地表近くの温度が高くなります。この時、音は速く伝わり、かつ上向きに屈折しながら進んでいきます。このため、音は上空方向へ逃げていってしまうので、地上にいる私達には届きにくくなります。
一方、夜は放射冷却などによって地表の温度が下がり、上空は温かい状態になります。すると音は上空に逃げずに地表近くで拡散するため、地上の私達に届きやすくなるのです。
このような気温の逆転は夏よりも冬に顕著になるため、「冬の夜」に遠くの音がよく聞こえるという現象が発生しやすくなるのです。
湿度の影響は受けるの?
そもそも「音」とは、「空気の振動」であることはこれまでもお伝えしてきました。
「湿度が高い」ということは、空気中に水の分子が多く含まれている状態のことです。
そうなると特に高音域の音は波長が短いため、空気中の水分に振動エネルギーを吸収されてしまいます。
また、水の分子が多いということは、イコール振動を伝える物質が多いということであり、振動の伝わる速度が速くなりますが、一方で、それだけ音が拡散してしまうということでもあります。
そうなると、音は明瞭でなくなり、こもって聞こえるようになるのです。
よく、有名なアーティストの方が、ニューヨークやロスなど海外でレコーディングをしていますが、湿度が低いと乾いた良い音が出せる、というのは物理学的にも理にかなっていることなんですね。
また、都心でも何年かに1回くらいは大雪に見舞われることがありますね。
そんなときもやはり、周りがとても静かになって遠くの音が聞こえやすいと感じたことがありませんか?
普段は音を反射しているアスファルトが雪で覆われるため、地表近くの音は雪に吸収されてしまいます。
しかし、空気中の水分が雪となって積もっているため、空気自体は乾燥しており、さらに積雪によって地表の温度はぐっと下がっています。
すると、先程の放射冷却と同じような条件となり、遠くの音が届きやすくなる、といった現象が起こるのです。
風が吹くとどうなる?
桶屋が儲かる、というのは置いといて。
よく「音が風に乗る」などとも言いますね。
風向きによって音の聞こえ方が違うという現象は、実際に起こりえます。
風上の音は風に乗って風下に届きます。
ただ、音には実体がないのでなかなかイメージしづらいですよね。
川を思い浮かべてください。
川に石を投げ入れると波紋ができますよね。
川が流れていると、できた波紋ごと一緒に流れて行きませんか?そんなイメージです。
ただし、不規則な風だったり強風の場合は、空気の流れがかき乱されますので、振動がうまく伝わらないこともあります。
このように、さまざまな気象条件によって音の伝わり方は複雑に変化するのです。
また、こういった気候の違いから、その土地に適した特有の楽器(の原型)や曲などが生まれたとも言われています。
このあたりのお話は、また改めてご紹介しますね♪
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