マンションで聞こえてくる音楽の重低音 振動、どこから?
「なぜ日本の住宅は音が響くのか?」空間と音の関係に興味を持たれた方へ
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単なる騒音対策にとどまらない、本質的な「音環境のあり方」と空間づくりのヒントが詰まった一冊です。

本日は筆者が実際に体験した騒音トラブルをお届けします。
舞台はマンション、アパートといった集合住宅。
騒音トラブルといっても人の話し声、足音、テレビなどの家電、挙げればまだまだ沢山ありますが、今回は音楽の重低音 振動にフォーカスしています。
あれは今年の1月くらいでしょうか、夜になるとどこからともなく「ズンズン」といった音楽の重低音が聞こえてくるようになりました。
壁に耳をつけて聞くと、ボーカルのような音がかすかに聞こえてきます。
時間は夜の10時頃、大音量で音楽を鳴らすのは自粛すべきであろう時間帯です。
実際「大音量」といえるような爆音ではありません。
ただただ「ズンズン」と低音だけが響いてくるのです。かすかな振動も。
これまでにも隣人の音楽が聞こえてくることはありましたが、低音だけというのはあまり記憶にありません。
また、筆者は近くに線路がある立地に住んでいるため、普段から耳栓を使用して就寝しています。
しかしこの体に直接響いてくるような音楽の重低音に、耳栓では防げませんでした。
低音と重低音の区別をする
低音と重低音の定義は、かなり曖昧で、明確な決まりがあるわけではありません。
音の単位Hz(ヘルツ)で示すと、100Hz以下、または20Hz~100Hzの間、または20~30Hz以下の低音を、重低音と区別するようです。
もはや音というより、振動として捉えられる音域を指します。
ちなみに日常会話は250Hz~4,000Hzといわれています。

重低音はなぜ耳栓で防げないのか

さて、この重低音ですが1日では終わりませんでした。最初に聞こえた日から毎晩続くようになりました。
これはもう黙ってはいられません、何しろ耳栓で防げないのです。
これは一体何故なのか?また何故重低音だけが響いてくるのか?この答えは当ブログでも何度か紹介している「固体伝搬音」だからです。
音の伝わり方には2通りあり、ひとつは「空気伝搬音」。
音源から放出された音が空気中を伝わっていく音のことで、音源からの距離が離れるほど減衰し、壁などの遮蔽物によっても減衰します。
こちらは耳栓でかなり効果が期待できます。
もうひとつが「固体伝搬音」です。
壁・天井・床に入射した音が、物体内を伝搬して空気中に放射する音を指します。
困ったことに距離が離れていても空気伝搬音ほど減衰しません。
「ズンズン」と音楽の重低音だけが響いてくるのは、これが原因です。
更に厄介なのは、部屋で聞こえる感覚だけでは、音源の特定が難しいです。
筆者は隣の部屋から聞こえてくると感じましたが、管理会社に連絡したところ隣室はなんと「空室」でした。
結局この騒音トラブルは、管理会社に連絡し、全戸に個別にリサーチする対応をしていただいたところ、連日響いて来た「ズンズン」という重低音はなくなりました。
それでも時折「ズンズン」と聞こえてきますが、以前ほど頻繁ではないので我慢することにしています。
「空室なのに音が聞こえる」不思議なカラクリ
「隣は誰も住んでいないはずなのに、なぜ重低音が響いてくるのか?」
実はこれ、防音の現場では決して珍しいことではありません。
例えば、L字型のマンションで、自分のお部屋から一番遠い部屋の音が配管や壁を伝って届いていたというケースもあります。
音の聞こえる方向感覚と、実際の音源の位置がまったくズレていることはよくあるのです。
「一体どこから聞こえてくるのか分からない…」と不気味に感じるかもしれませんが、そこには必ず建築構造上の理由があります。

騒音に悩んだら、管理会社にどう伝えるべき?
筆者がこの記事を執筆した2020年から年月が経ち、2026年現在も在宅ワークや動画配信、自宅での音楽活動の定着に伴い、騒音トラブルは依然として高い水準のまま続いています。
全国の行政窓口だけでも年間約2万件近くの騒音苦情が寄せられており、警察通報や管理会社への相談といった潜在的なトラブルも含めると、その数は膨大です。
一方で、管理会社側のトラブル対応のノウハウも年々進歩しています。
実際、環境スペースは音や振動の公的な測定を行う「計量証明事業所」でもあるため、管理会社様から測定のご依頼をいただくことも少なくありません。
もし今まさに音でお悩みなら、我慢せずに一度管理会社へ相談してみましょう。
難しく考える必要はありません。
ご紹介した音には空気で伝わる「空気伝搬音」と、建物(壁や床)の振動で伝わる「個体伝搬音」の2種類があるという仕組みを知っておくだけで、話し合いがぐっとスムーズになります。
単に「うるさい」と伝えるよりも、管理会社側が建物の構造を視野に入れた具体的な調査や対応を進めやすくなります。

「音」の問題を根本から解決するために
このように、音の問題は被害を受けないための自衛だけではありません。
自分が音を出す側になったときのご近所への配慮もありますが、根本的には、自分がどんな環境で生活をしていきたいのか、どんな住まいを選ぶかという視点がとても重要になってきます。
これから先、どこに住むとしても「防音」や「音環境」という視点を持っておくだけで、住まいの快適さは大きく変わります。
もし「もっと静かで快適な環境に整えたいな」と思ったときは、選択肢の一つとして、あらかじめ防音性能が備わったマンションなどを一度チェックしてみるのもおすすめです。
環境スペースでは、音でお悩みの方から本格的に音楽を楽しみたい方まで、役立つ情報や資料を幅広くご紹介しています。
あなたの知りたいテーマや状況に合わせて、ぜひ参考にしてみてください。
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